ツレがうつになりまして

無論、映画の話。

週末に表題の映画を観た。
宮崎あおいと堺雅人(合ってる?)の名演技で締まった作品になっている。

20代にうつになりかけた私としては心情がとても良く判った。
夜眠れない。身体中が痛い。吐き気がして食欲がない。
最初は胃腸科で胃カメラを飲んだが「多少荒れているが正常」と云われ
こんなに具合が悪いのに「正常」と云われて余計にショックだったのを覚えている。
で、心療内科に行くわけだが。。。

柔らかなピンク色の壁で、やたら優しそうな男先生が色々質問してきて
こっちは「うつ病」の存在を知っていたから「うつ病ですか?」とストレートに聞いたが、そのときの先生は肯定しなかった。
「失調症」という言葉で説明してくれたが、出来れば職場・部署を変われないか?(退職せよとは決して云わなかった)とか責任分担を変えてもらえないか?
とか指導してくれたけど、それってどう見てもうつの人への指導だと思うけど。。
うつという名詞を使いたくなかったんだろうなぁ。あのときの先生は。

でも内容を打ち明けたことと投薬治療で私の場合は数ヶ月ほどで普段の生活が出来るようになった。のちに姉貴も同様の症状に罹ったが数年かかっても改善しないから
やはり私のはうつではなかったのかも。。。

映画の話に戻る。
よく言われるように「頑張らないこと」がいいようだが
妻(宮崎あおい)がいい感じで接しているので彼は救われた。
付かず離れずで寄り添っている感が良かったですな。
現実社会でなかなかあぁは行かないでしょう。
ペットのイグアナをみて「俺も爬虫類になりたい・・・」との夫に
「爬虫類になったらこの暖かさを感じることが出来ないのよ」と
夫の手を自分の服の中の胸に押し当てるシーンが秀逸。
自殺未遂のシーンがメインのように扱われているが俺にはこのシーンの方が印象的。
あんなことされてみたいねぇ。。。

この手の作品は最後が難しい。
一応、自伝本を刊行してハッピーエンドの形で終わっているがもう一ひねり欲しかった気がする。
本職の漫画はどうなったのか?夫のその後はどうなったのか?
この病気は回りの環境に左右されやすいだけに本人達の変化だけでめでたしめでたしで締めるには余りに安易だ。
子供が出来たら妻の仕事は成立するのか?
夫が定職に付かずにあの一家はどうなるのか?
テーマが現代の問題点を鋭く指摘してるのに、漫画チックな締め方になった事に不満の残る作品であった。