恋の罪

映画の話をもうひとつ。

東電OL事件を題材にした映画
2011年の作品ですからネパール人の逆転無罪の判決前の製作と思いますが
映画自体には外国人の話題はなし。
最後の方に渋谷の立ちんぼが90年代:日本人→現在:ほぼ外国人 という形で出てきますが。。。これ、結構重要なポイントですけど本題ではないので。

園監督作品としては「冷たい熱帯魚」の次の作品。
実際の事件をモチーフにした共通点はあるものの、この作品は女性3人が主人公。
尾沢母ちゃんを含めれば4人か・・・

有名小説家の妻を中心に話は展開していくが、本題はSEXの価値観というテーマ。
で、東電OLの代わりに大学教授の設定で女性が出てくる。
昼はインテリ女性。夜は娼婦として二つの顔を持った女性。
最後は5千円でもやっちゃう姿が事実に近いようだ。
当然、東電OLの渡邊泰子は死んでしまったから真相は闇の中だが
生きていたら彼女の話を是非とも聞いてみたかったものだ。
「何を満たされたくてこの道に入ったのか?」と。。。
自分は男だから女性の感情は当然判らないわけだが
このようなことは「有るかもしれないな。。。」とは思うのだ。

単なる男好き、SEX依存症、では片付けられないものを感じる。
余程の信念、哲学がないとあそこまでは行けない。
人は「堕ちた」と云うだろうが本人達には堕ちたという感覚はないのではと思う。
映画では近親相姦的な親子関係の確執をちらつかせているが、何%かはあるにせよ
あそこまでマインドコントロールされるには、ちと無理がある。
20〜30代の恋愛経験が影響を与えたであろうことは容易に想像できるが
映画中の尾沢や渡邊泰子の取材からはそのあたりが全く見えてこない。
せめて映画でだけでもシュミレーションして欲しかった。

・男(社会)への恨み!?
・自分が生きていることの確認のための行為!?
・単純に自虐することでの性的興奮!?
(実際渡邊泰子はスカトロプレイで出入り禁止になったホテルが有ったらしいし)
云える事は、渡辺は一日4人のノルマを自分に課していたり
有るだけの金でいいけど(後払い可、0.2万円というメモも有ったらしい)絶対タダではさせなかった という点からみて
決して自分の身体を、=女の性をタダ同然とは思っていなかったこと。
かといって売り物というのとも違う。売り物ならあんなアバズレっぽいことはしなかったと思うし。。。
ネットではよく木嶋佳苗と比較されているようだが木嶋早苗の場合は判りやすい。
女の性を売り物にし、自分の価値をわかった上で犯行に及んでいる。
ん〜。なんとも謎だ・・・

映画中でキーワードとして使用された
「言葉なんて覚えなければ良かった。。。」
という田村隆一の「帰途」の詩だけがいい味を出している。

渡邊泰子。一度会いたかったな。